『安さ』をお買い物。

フェアトレード

ワークショップで使うボウルを買いに行きました。
二番目に近いホームセンターで1個1,000円ほど。
一番近いとこより安かったのでご機嫌で帰ってきたら、100均で同じようなサイズのステンレス製のボウルが300円で売ってました。

…( 一一)

なぜなのなんなのこの差って。
価値と価格の関係ってなんなんだ??

不意打ちの『損した感』にダメージを受けつつ、『安い』ということについて考えてみました。

安さが売りです。

一昔前のキャッチコピー。

『安さが売り』
『価格破壊』

もはや普通のものは安く売ることが必須。
『安くなきゃ買わない』このご時世、『安さ』が特別『売り』にはならなくなったのかな。と想像しています。
さて、当時何の疑問も持たずに聞き流してましたが…

『安さ』って何で買えるのかしら。

安さはお金じゃ買えません。
では、何で?

私は覚えています。
あの頃は、『安かろう・悪かろう』という言葉もおなじみでした。
安いなりの出来、安いなりの使い心地、安いなりのデザイン性。
安さが売りですけど何か┐(´∀`)┌?
安物はバレちゃう時代、高い物は見ればわかる時代。
『安さ』は『品質』と直結していました。

遜色ない安物。

ところが、今安価で売られているものは高いものと比べて割と『遜色ない』と言われます。
素材も作りもしっかりしていて、デザイン性も優れている。
嬉しいです。本当に助かってます。

例えば、とある一例。
服に関してのこちらの映画を見ると、その一つのルーツに出合います。

ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~ [DVD]

この中で、ショッキングなエピソードがありました。
2013年にバングラデシュの縫製工場が入ったビルが崩落した事故。
当時は私、「貧しい国は建築技術が遅れているんだな。」と思っていました。
ところが、そんな話ではなく。

その工場で作られた服は先進国へ。
先進国の私たちが安くないと買わないので、メーカーは現地の技術を買い叩きます。
結果、建物の修繕がままならずとうとうビルは崩落し…

1,000人以上が命を落としました。

『ファッション史上最悪の事故』と呼ばれています。
この服を『安物』と言えるのかな?

「そんなつもりじゃなかった。」
上映後、そう言ったのは私。
一緒に映画を観た多くの人がうなずいていました。

私はあのとき、安さを人命で買ったのかも。

食卓で安さを買う。

じゃあ、食べ物は?
スーパーに置かれている多くのものが遠くにある工場から運ばれてきて、きれいにパッケージされていたりしませんか?
全部コミコミでこのお値段!
安い(☉∀☉)
企業の努力の賜物です。

企業は安く売るためにより安い原料を求め、長持ちして見栄えが良く繰り返し食べたくなるようなものを開発して世に送り出します。
企業は常に努力している。
私たちの好みに合わせて。
たくさん売れるものを作らなきゃ大きい企業はつぶれちゃうので当然です。

私たちは買うことによって企業に好みを伝えています。

ソーセージ作ってるときによく思うんです。
天然の羊腸ってとても扱いづらい。

ワークショップで使う羊腸。1本4mあります。

絡まるし破れるしムラもあります。
これを大量生産には使えないな~、私なら使わない。

ソーセージには人工のケーシング(ソーセージの皮のこと)というのがあって、植物由来のセルロース系とか動物性たんぱく質由来のコラーゲン系があるんだそうです。
扱いやすく安定的に供給でき、しかも安価。

人工のケーシングに問題があるかどうかという話ではなくて。
そうやって、大量生産のための置き換えをいっぱいしてるうちに本来のものとはどんどんかけ離れてるんだろうな~。とは思います。
本当に欲しいものを買ってないのかも。
添加物の話とかはね、いっぱいあるから各々調べましょう、解散。

畑に安さを求めると。

では野菜は?
きれいな野菜がお揃いのパッケージに身を包んで遠くからやってきます。
効率的に栽培をするため、広い土地で同じものをたくさん育てます。
これ、モノカルチャーっていうんですって。
同じものを育てていると、1個が病気になったときにそれがものすごい勢いで伝染する。
だから農薬を撒きます。
農薬散布も重労働です。

私が幼い頃の記憶では、農薬散布の日、父は銀色の合羽と防毒マスクをして汗をびっしょりかいて畑から帰ってきました。
鼻から頭に抜けるようなグラッとくる農薬の匂い、父は決まって不機嫌でした。
最近あの合羽を見かけないのは、私が見ていないだけなのか、もう着なくてよくなったのか…。

そうやって日本国民全員のお腹を満たすために農家さんは一生懸命作物を育てるのです。
私たちのニーズがあるから。

「いやいや私は安いのでいいの、B品で。」って言う人もいるかもしれません。
だけど安さを求めた時点で実はきれいさも求めてるんじゃないかな。って思います。
曲がってたら効率よく荷造りできないから輸送コストがかかるし。
遠くから運ぶなら一つ傷んでいたら、虫がいたら広がってしまう。
だから形よく、傷もなく虫もいないものしか出荷できない。
慣行農家だって決して楽をしているわけではありません。

そうやって育てた野菜が店頭に並ぶとき、一袋100円。

え、安くね?

ちゃんとフェアトレードできてるか、いつもなんとなく心配になります。
たくさんできれば値が下がり、少なければ高いから売れない。
顔が見えなければなおさら、フェアでないことに気付いてないかも。

ついでに言うと、もしかしたら環境を犠牲にしているかもしれない。
それは慣行栽培に限らず、たくさん作ろうと肥料を撒き過ぎれば無農薬でも起こりうるんだそうです。
私たちの『安く』というニーズは、結構いろんな作り手にプレッシャーをかけているんだと思います。

道理を忘れなければ。

私たちが安さを求める理由はさまざま。
なので、安さを求めることが悪いとは思いません。
私だって最近は100均に通い詰めだし、スーパーの安売りのワゴンが大好き。
だけどそのとき、何かで安さを買っているという意識をなんとなくしています。
それが道理だから。
前に聞いたことがあります。

安い物ばかりを求める生活をしていると、気付けば自分もその環の中に入っている。
安い給料で働かされるのは、安い物を求める社会の為に働くからだ。

だから、私はまず一つだけ取り組むことにしました。

農薬の開発も劇的に進んでいると思います。
だけど、それと同時に農薬を使わない農法も本気で進化していると思う。
無農薬にもいろんな農法があります。
だからそういう分野を応援したいという思いで、私は身近な農家さんからなるべく野菜は買うようにしています。
それがきっと大きな循環の中で、すべてに小さく影響していくと思うから。

ストイックにする必要はないと思っています。
1人の100歩より100人の1歩 ←わかりやすいよね。
私は1人で100歩は無理です寂しいから(T_T)
一緒に歩ける100人の仲間を探します。
できるところから、自分の得意なところから。
みんなでやると、いろんなところがちょっとずつ変わっていく気がします。

コメント

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